date | 2026.1.29
炎が描く冬の情景 ~若草山焼きに寄せて~

奈良 若草山焼き

奈良の冬を象徴する伝統行事、若草山の山焼き。
ありがたいことに、お客さまのご邸宅で開催された鑑賞会にお招きいただき、人生で初めてその壮大な光景を目の当たりにした。

山焼きの前に花火が打ち上がる。空気が澄みきっているせいか、光の粒が一つひとつくっきりとしていて、潔い。夏の花火が湿り気を帯びた情熱だとしたら、真冬のそれは驚くほど清らかだ。冬の花火がこれほど美しいものだとは知らなかった。

花火が終わると、いよいよ山に火がともる。
今年は特に空気が乾燥していたせいか、炎が広がるのが例年よりずいぶん早かったらしい。 ただその迫力に見入ってしまった。

奈良 若草山焼き

何より感銘を受けたのは、お客さまの細やかなホスピタリティだ。 しつらえからお料理、そして集った方々へのご配慮まで、随所にあふれるおもてなしの心に触れ、あたたかい気持ちになる。
美しい空間には、それを愛でる人の心が宿るのだ。あらためてそう気づかされた。

奈良 若草山焼き

奈良 若草山焼き

ご一緒させていただいた方々との会話もとても有意義だった。
家屋、行事、暮らし、それぞれの美意識について語り合い、建築史学の先生からは、日本の住居の変遷や意味について、興味深いお話を聴かせていただいた。 教科書的な知識ではなく、その場にある空間を指しながら語られる言葉は、すんなりと腑に落ちるから不思議だ。

僭越ながら、私もインテリアについて少しお話しした。自分が関わった空間が、こうしてお客さまの手によって素晴らしいおもてなしの場になり、人が集う。その様子を間近で見られたことが、デザイナーとして何より嬉しかった。

山焼きの炎と、知的な会話。なんと贅沢な大人の時間なのだろう。
こうした場に身を置いているのを、どこか不思議に見ている自分がいる。 どれだけキャリアを重ねても、心のどこかでは、必死に仕事を覚えようとしていた若い頃と地続きのままなのだ。

あれから、ずいぶんと経った。つみ重ねてきた時間が、今のこの場や、ありがたいご縁に繋がっている。
ピッと背筋が伸びるあの夜のひとときを思いながら、そんなことを反芻している。

 

明石市, 兵庫県, JPのHouzz登録専門家Kanako Ohnishi

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