【JAPANSHOP2025「NIPPONプレミアムデザイン」IDMアワード 入賞事例】
東京ビッグサイトで開催された「JAPANSHOP2025」特別企画「NIPPONプレミアムデザイン」IDMブース内にて、一社)JAFICA日本フリーランスインテリアコーディネーター協会が手掛けた2ブースのうちのひとつ、山久漆工株式会社様の展示ブースデザインを担当しました。
【Design Concept】
本プロジェクトの核は、「漆器=和」という既成概念を解体し、漆の持つ本質的な美しさを、現代のインテリアシーンに再定義すること。
山久漆工株式会社様の越前漆器は、圧倒的な技術力と質感の深さを備えています。それを、単なる“伝統工芸”としてではなく、“現代の美意識に響く存在”として見せることに挑みました。
【空間構成と演出】
あえて洋の象徴であるモールディングを採用し、クラシカルな洋風建築のような骨格を構築。存在感のあるテーブルスタンドに漆黒の漆を纏わせ、意外性と品格を同居させました。
漆器の色・質感を際立たせるため、空間の色彩は極限までそぎ落としています。強調された朱(あか)と艶が、照明の演出によって立体的に浮かび上がり、来場者の視線と意識を空間内へ導きました。
さらに、インテリアアイテムとしての漆の可能性を訴求するため、展示アイテムの選定・構成にこだわりました。壁面に配したスクエアアートや、造形美と実用性を併せ持つオリジナルデザインのテーブルも、すべてオリジナルです。アートとしての漆、家具としての漆。それぞれの在り方を、空間の中で自然に呼吸させています。
【象徴モチーフとしての“鳥”】
空間の象徴として配した“鳥”のモチーフは、漆が過去の美としてとどまるのではなく、今を生き、未来へと羽ばたく素材であることを表現したものです。伝統は守るだけではなく、進化し続けるもの。漆はその象徴たり得る素材であると思います。
本プロジェクトは、IDMアワードにおいて入賞という評価をいただきました。
これは漆という素材のポテンシャル、そしてインテリアというフィールドにおける新たな表現の可能性が認められた結果であると捉えています。
空間は、ただ美しいだけではなく、意味と意志を持つことで、初めて人の心に残るものになる。
今後も、素材の声に耳を澄ませ、空間に物語を宿すデザインに取り組んでまいります。