date | 2024.2.28
感性という名のくらげ

くらげ 感性の器

曲がりなりにもクリエイティブな仕事をさせてもらっているので、それなしには成り立たない、「感性」について書いてみたい。

感性の器や大きさは、生まれたときから決まっている。それは、人それぞれ持って生まれたもので、死ぬまで基本変わらない、と思っている。
例えば「センス」なら、生まれ持ったものに後付けをしたり、修正を加えたりできる。人のセンスを真似ながら自分のものにしていく、などの学習機能がはたらいて変容していくものだ。では、「スキル」はというと、これは生まれてから習得していくもの。自分しだいでどうにもできる。

そこへいくと、感性にはそういった可変性がない。カメラとレンズ同じく、心と感性はセットで、人の本質に限りなく近いのだ。だから、いくら他人の感性に憧れたところで、センスやスキルのように真似たり盗んだりはできない。残念だけれど。

感性のイメージは、くらげだ。
水分をたっぷり含んだナマモノで、快適かつ最適な環境に漂って生きている。捕食による栄養摂取も必須。触られたくなくて電気ビリビリさせるやつ、近づくだけで怒って刺しにいくやつもいる。波に逆らって進むほどの力はないから、うっかり砂浜に打ち上げられたらやっかいだ。乾燥大敵。放置厳禁。

くらげ 感性の器

 

わたしのくらげは、電気ビリビリも毒針攻撃もしない。うっかり波打ち際へ運ばれるようなミスもほとんどしない。海面から見えないところで、いつも静かに漂っている。
一見すると手がかからないようでいて、実はこのくらげ、大喰らいなのだ。静かなのをいいことに栄養の供給を怠ると、あれよあれよと衰弱する。
肉体や心は、維持が難しい状態になると必ず何らかのサインを送ってくるから、おおごとになる前に気づくことができるけれど、サインをよこすすべを知らないくらげは、ただ静かに弱っていくだけ。なんだか儚くて、泣ける。
いったん衰弱してしまうと、復活させるのにものすごく手間と時間がかかるので、ふだんから気をつけてやらないといけない。
なのに、なのに、やらかした。

くらげ 感性の器

わたしのくらげの栄養素は、本・映画・音楽・アート、そして、共鳴する感性を持つ”人”の、5つ。これらを十分に満たしてやることが、昨年はほとんどできなかった上に、かまってもやれなかった。放置厳禁は前述のとおり。
はっと気づいたときにはもう、オロオロするくらい衰弱していた。ごめんね、くらげ。

昨年を猛省し、今年は栄養の摂取に努めている。いちばんの障壁は、時間の捻出か。でも、くらげが弱ると、仕事の質にも影響することを考えれば、栄養摂取の優先順位をもっと高めるべき。なんとなく、ただ遊んでいるだけのような気がして・・・いやそうではなく、ただ遊んでいるだけと思われる(誰に?)ような気がして、ずいぶんくらげをないがしろにしてしまった。実体のないものに急き立てられる癖は、もう手放そう。

くらげ 感性の器

ちなみに、本も映画もあと3つも、あくまで私のくらげが好む栄養なのであって、あなたのくらげが好むとは限らない。そこはノークレームでお願いしたいのと、あなたのくらげは何を食っているのか、ぜひ教えてほしい。

明石市, 兵庫県, JPのHouzz登録専門家Kanako Ohnishi

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